乾癬の教科書
乾癬にはどんな種類と症状があるの?
乾癬の発症する部位と症状
乾癬の症状があらわれる部位
乾癬には、特徴的な皮膚の症状があります。主に、「紅斑」、「肥厚」、「鱗屑」などで、これらが複合的にあらわれることが多くあります。さらにかゆみを伴うこともあります。
乾癬の皮膚症状は、全身のどの部位にもあらわれますが、とくに衣服などで皮膚がこすれる場所に出やすいという特徴があります。たとえば、肘、ひざ、腰まわりなどです。
また、頭皮にも乾癬の症状は出やすいといわれています。これは髪の毛が伸びるときに、毛が頭皮をこするためと考えられています。また、乾癬患者さんの2〜4割*1でつめの変形などの病変がみられます。その他、手足の指、アキレス腱、かかとなどにも痛みや腫れがみられることがあります。
皮膚にあらわれる乾癬の症状
乾癬の皮膚では、体内の免疫バランスの異常が起こり、皮膚の細胞が過剰に増殖して健康な皮膚に比べて10倍以上の速度で生まれ変わります。そして過剰につくられた皮膚は積み重なって盛り上がり、表面を銀白色のかさぶたのように覆い、最後はポロポロとはがれ落ちます。
また、炎症性の細胞が集まってきて活性化するため、毛細血管が拡張して、皮膚が赤みをおびた状態になります。
主な皮膚症状には、紅斑、肥厚、鱗屑があり、これらが複合的にあらわれることがほとんどです。
紅斑
紅斑は乾癬に特徴的な症状の1つです。細胞が炎症を起こして毛細血管が拡張し、皮膚が赤みをおびます。
肥厚
肥厚は乾癬に特徴的な症状の1つです。皮膚が炎症を起こして皮膚表面が厚く盛り上がります。
鱗屑
鱗屑も乾癬に特徴的な症状の1つです。皮膚表面に銀白色のかさぶたのようなものができます。また鱗屑がポロポロとはがれ落ち、フケのように見えることもあります。これを落屑といいます。無理に剝がそうとすると出血することもあるので注意が必要です。また、かいてしまうと、ケブネル現象※を起こしてさらに皮膚の悪い状態が拡がってしまいますので、これも注意が必要です。
※ ケブネル現象とは… 乾癬では、症状のない部位に刺激が加わると、そこに新たな皮疹が生じることがあります。これを「ケブネル現象」といいます。ただし、乾癬以外の皮膚疾患でも見られることがあります。
かゆみ
乾癬の患者さんでは、皮膚の見た目の変化と同時に、かゆみを感じる方も多くいます。
かゆみの感じ方には個人差があり、あまりかゆみを感じない患者さんもいます。
かゆみがひどい場合は、我慢せずに、困っていることを医師に具体的に伝えて、症状にあった治療法を相談してみましょう。
つめにあらわれる乾癬の症状
乾癬によるつめの病変は、尋常性乾癬の方で約2割(日本乾癬学会集計)に、乾癬性関節炎の患者さんでは7割*3程度にみられます。
◎表面にポツポツと点状の凹みが現れる
◎つめが変形する
◎つめの表面がはがれる
◎つめの色が濁り透明感がなくなる
など症状はさまざまです。
つめの病変が気になる場合は、早めに医師に伝えて、症状にあった治療法を相談しましょう。
関節の痛み・腫れ
乾癬の症状は、皮膚やつめだけでなく、関節にもあらわれることがあります。関節の痛み、腫れ、こわばり 、変形などの関節症状がみられる乾癬を「乾癬性関節炎」といいます。
乾癬の関節症状は、とくに、手や足の指の関節に症状が出やすいといわれています。その他、アキレス腱、かかと、足の裏なども痛みや腫れの症状が出やすい部位です。
皮膚症状が先行して発症し、次に関節症状があらわれる場合が多い(約75%)とされていますが、その逆の順(約5%)や、同時にあらわれる場合(約20%)もあります。*5
関節の腫れが気になったり、痛みがひどい場合は、がまんせずに早めに症状を医師に伝え、治療法を相談しましょう。
- Takata, T. et al.: J Dermatol, 43: 650, 2016
- 画像提供:桜仁会いがらし皮膚科東五反田 院⻑ 五⼗嵐 敦之 先⽣
- Zenke, Y. et al.: J Am Acad Dermatol, 77(5): 863-867, 2017
- 画像提供︓医療法人社団 廣仁会 札幌皮膚科クリニック 院長 安部 正敏 先生
- Yamamoto, T. et al.: J Dermatol, 43: 1193-1196, 2016
- 画像提供︓福島県⽴医科⼤学 ⼭本 俊幸 先⽣
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