乾癬と向き合う 患者と医師の二人三脚ストーリー

コーナー監修:帝京大学医学部皮膚科学講座 主任教授 多田弥生先生

Story 4

病名:尋常性乾癬/乾癬性関節炎 
症状:皮膚症状から指の関節痛へ 
病歴:35年(皮膚治療30年の後、関節症状発症) 
年齢:60代

患者さんに信用してもらい、心を開いてもらうこと。
それが私の一番だいじな仕事です。

帝京大学医学部
皮膚科学講座 主任教授
多田 弥生 先生

先生と話した瞬間、肩の力がすっと抜けたんです。
「この人となら良くなるかも」と確信が持てた。

K.Tさん

起

Kさんに乾癬が発症したのは約35年前。足にできた赤い発疹がやがて襟足や頭部にも広がり、鱗屑が床に落ちるようになります。「症状が比較的軽かったこともあり、まわりにはアトピーだと言っていました。月に1度の床屋や会社で旅行に行くときは面倒を感じましたが、それ以外は、実はあまり不便は感じなかったんですよ」そんなKさんの症状に変化が出たのは3年前。急に手の指が腫れ、痛みでタオルを絞ることさえできなくなりました。「慌てて整形外科にかかりました。母親がリウマチだったので私もそうなったのかなと…」ところが結果は陰性。腫れ、痛みは2ヶ月ぐらいでさらに悪化し生活にも支障が出てきました。

承

整形外科の医師から、乾癬を診てもらっている先生にそれを伝えてみては、と言われ、半信半疑で窮状を伝えたところ、すぐ紹介されたのが多田先生でした。「乾癬で関節に症状が出るなんて、まったく知りませんでした。関節痛のことを皮膚科医に相談する発想がそもそもなかった」と語るKさん。皮膚科は皮膚のことだけ、と思い込んでいたのです。Kさんを診た多田先生は、短期間で症状が悪化していることを懸念。関節症状のさらなる重症化を防ぐため生物学的製剤での治療をKさんに勧めます。「まずはKさんがおっしゃっていた<痛み>をとってあげたかった。乾癬の関節症状の出方は患者さんにより様々ですが、2ヶ月という短期間でどんどん関節が痛くなっていったKさんは、とても怖かったと思います」

転

2回目の治療のあと診察室を訪れたKさんの様子で、症状が好転したことがすぐにわかった、と多田先生。扉を開けるなりKさんは「指が動かせるよ〜」とジェスチャーで伝えたといいます。しかしその後の治療で多田先生をさらに驚かせたのがKさんの詳細な治療記録です。「症状はすぐ良くなりましたが、それでも日によって痛さの程度や痛む場所が違うので、毎日の記録を取って診察の際、先生に見せるようになったんです」多田先生は、その詳細な記録を見て30年近い皮膚症状の治療から乾癬性関節炎へと移行したKさんの募る不安を痛感。同時に治療の効果を実感し、さらに全力で治療に向き合おうとするその姿に心打たれたと言います。「診察室で得られる情報は限られているので、患者さん自身が症状の変化に気づき医師にサインを出してくれるのはすごく助かります」と多田先生。

結

現在、定期的な治療でほぼ寛解状態を保っているKさんは、自身の治療を続けながら自分の体験が同じ患者さんの力になれば、と地元患者会にも積極的に参加されているとのこと。 多田先生から「100点満点の患者さん」との太鼓判をもらったKさんは、「いえいえ、先生の情熱が私の<患者力>をつけてくれたんです。病気になったことがよかったとは言いませんが、こんなに熱心に支えてくれる先生に出会えてほんとうによかった」そう言って隣にいる多田先生にやさしい視線を向けました。

Kさんに学ぶあなたの治療のヒント!

乾癬は免疫が関与している病気です。
そのため皮膚だけではなく、関節にも症状が出る場合があります。
乾癬治療中に関節に異変を感じたら皮膚科専門医にすぐ相談を!

多田先生からのワンポイントアドバイス

定期的な診察で私たちが知れるのは「点」としての患者さんの症状です。Kさんのように、日々の変化を伝えていただくことで、さらに具体的な治療計画が練れますので、感じた変化や不安は遠慮せず主治医に伝えるようにしてみてください。

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