乾癬の教科書

乾癬の原因

乾癬のメカニズム

乾癬は免疫バランスの異常が関与

細菌やウイルスなどから体を守ってくれる免疫。本来、活性化と抑制のバランスを保っている免疫に異常が生じ、活性化し過ぎること(過剰な活性化)により、乾癬の症状を引き起こすと考えられています。

乾癬では、表皮細胞、樹状細胞、リンパ球が重要な役割を果たしています。表皮細胞は皮膚を作る主な細胞です。樹状細胞やリンパ球は免疫細胞といわれ、乾癬の症状があるところに多く存在することがわかっています。

乾癬の炎症を引き起こすのは「サイトカイン」と呼ばれる物質が乾癬の発症に深くかかわっていることが、近年の研究で明らかになってきました。サイトカインは、免疫系の細胞から分泌されるタンパク質の一種で、生理活性タンパク質とも呼ばれます。

乾癬では、何らかの刺激により、樹状細胞やリンパ球(ヘルパーT細胞など)が異常に活性化し、炎症性サイトカインが過剰に産生されます。この過剰な炎症性サイトカインの産生は、活性化した樹状細胞やヘルパーT細胞の免疫細胞内で情報伝達を調節しているPDE4と呼ばれる物質の量が増えているためにおこります。過剰な炎症性サイトカインの働きにより、最終的に皮膚をたくさん作る指令が表皮細胞に伝わり、乾癬では通常より約10倍速いスピードで皮膚が作られます。

※ ホスホジエステラ―ゼ4(PDE4)と呼ばれる酵素(タンパク質)で、炎症を引き起こすサイトカインの産生に関わっています。PDE4はcAMPという物質をAMPという物質に分解する役割があります。cAMPはさまざまな刺激に反応して細胞内の情報伝達を仲介する物質の一つで、cAMPの量が減ると、身体の中で炎症を引き起こすサイトカイン等の産生が多くなり、炎症が悪化することが報告されています。AMPはcAMPがPDE4によって分解されることで生じる活性のない物質です。

活性化した免疫細胞

活性化した免疫細胞

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