乾癬と向き合う 患者と医師の二人三脚ストーリー

コーナー監修:帝京大学医学部皮膚科学講座 主任教授 多田弥生先生

Story 2

病名:尋常性乾癬/乾癬性関節炎 
症状:全身の皮膚症状と四肢の腫れ、痛み 
病歴:45年 
年齢:60代

不定期な治療だとやはり症状に波が出てしまう。
乾癬治療は「こつこつ続ける」がやはり大切ですね。

O.Hさん

ネット全盛のいま、間違った情報に流されず医師と「自分に適した治療法」を見つけて欲しい。

小林皮フ科クリニック
小林 照明 先生

起

Oさんに最初に乾癬の症状が現れたのは18歳の頃。頭の中にできたフケのような鱗屑は、やがて背中、そして体じゅうに広がっていきました。折々の症状に合わせ、塗り薬の強さを変えながらその後十数年、一進一退の治療を続けてきたOさんでしたが、36歳のとき状況が一変します。「四肢の関節が突然腫れ、歩けない、文字も書けない、という状況になりました。皮膚症状がひどくなっても、実はさほどショックじゃなかったけど、関節の時は話が別。とても辛くきつかった」と当時を振り返ります。
関節の腫れは当初は何の病気かもわからず治療方法もわからずいくつかの病院を転々としましたが、ツテを頼って大学病院にて関節リウマチとの診断(のちに乾癬性関節炎と判明)をうけ何とか小康状態を保つようになりました。

承

治療の痛み止めの鎮痛剤が体に合わず、いきなり3週間も入院してしまったというOさん。こんな状態では乾癬の治療もままならない、と半ば諦めていました。 その後大学病院で治験に参加する機会を得ます。「その薬(塗り薬)が私には効果があったんです。ただ時間経過と共に徐々に薬剤の効果が落ちてくる実感があり、何か追加の治療を欲しいと思っていました。

転

その後Oさんは、開業医の小林先生と相談のうえ皮疹の治療を任せることにします。先生は塗り薬が効くOさんの体質やこれまでの治療経過、いまの症状などから、何通りかある治療方法をOさんに説明。二人で相談の結果、光線療法と塗り薬(配合薬)を組み合せた比較的マイルドな治療方法で進めていくことになりました。
軽症・中症なのに重症の患者さん対象の注射治療をしてほしい、という患者さんが時々いらっしゃいますが、強い薬=いい治療ではありません。治療選択肢が増えてきた今、何通りかある治療方法を、医師は患者さんにきちんと伝え、患者さんは医師と相談しながら、その選択肢の中から無理なく治療を続けられるものを選んできちんと治療してゆく。そんな両者の二人三脚が、乾癬治療ではいちばん大事ですね」と小林先生。

結

この治療により、今はほぼ症状のない状態をキープしているOさん。「当初は週1回は光線を当てた方がいいと言われていましたが、私は仕事の都合もあり来院ペースについても先生と相談させてもらい、ストレスなく治療を続けました。現在は2~3週間に一度の光線療法と外用療法でほぼ寛解状態を保っています。ちょっと悪くなっても先生の所にくればなんとかなる、という安心感が私の治療を支えています」と笑顔で先生を見たOさん。乾癬性関節炎についても今は落ち着いて日常生活に支障はないとのこと。現在、地元の患者会で、ご自身の治療経験をもとにほかの患者さんを見守りサポートする活動にも邁進されています。

Oさんに学ぶあなたの治療のヒント!

治療方法はもちろん、薬や通院ペースについても、Oさんのように先生としっかり話し合うことで、ストレスなく治療が続けられるかもしれません。

小林先生からのワンポイントアドバイス

ネットで色々調べて、来院前に自分で自分の治療方法を決めてしまう患者さんがいますが、ネット情報は誤りが多いし、検索上位にあるから正しい情報とも言えません。Oさんに光線治療が適したように、乾癬治療は一人一人、適性が異なり、症状や体質によって向く治療、向かない治療があります。患者さんの一番悪い状態を100として、それを80、60、それ以下にどう下げて行くかを我々は常に考えていますので、まずは医師とよく相談し、あなたに適した治療法を一緒に探っていってほしいですね

あなたに合った治療が見つかる
3つのポイント
お医者さんと自分にあった治療法を相談するためのチェックシート