乾癬ヘアサロン

髪のプロと学ぶ、乾癬と頭皮とケアのお話

頭皮と髪のプロだから知っておきたい
乾癬かんせんの知識

第1回
「乾癬」って何?

東海大学教授
馬渕 智生先生

ACQUA
小村 順子さん

 乾癬は主に皮膚に症状が現れる病気の一つです。日本では、患者さんが40~50万人以上いると言われています。頭皮を含む全身どこにでも発症するため、患者さんたちは、美容室や理容室に行くことを躊躇してしまうそうです。そこで、美容師・理容師の皆さんに、「乾癬のことを正しく知ってほしい」という思いから5回にわたり連載します。
 第1回と第2回では、乾癬の専門医である東海大学医学部専門診療学系皮膚科学 教授・馬渕智生先生と、美容師を代表してACQUAディレクターの小村順子さんとの対談を通して、乾癬の正しい知識をお伝えしていきます。

「乾癬」は、まだ認知度が低い。
人にうつる病気ではないことを理解してほしい。

東海大学教授 馬渕 智生先生

美容師は正しい知識を得て、
「乾癬」の患者さんに寄り添いたいです。

ACQUA 小村 順子さん

「乾癬は感染しない」
免疫のバランス異常でおこる病気。

―――「乾癬」というのは、どのような症状が出るのでしょうか?

馬渕 乾癬は、皮膚に赤みができて、そこが盛り上がり、かさぶたのようなものができて、ポロポロとはがれ落ちる症状が出ます。それが全身どこにでも出ます。特に、頭皮を含めて、ひじやお尻、爪など、外的な刺激が加わりやすい部位に出やすいです。また、指の関節に腫れや痛みが起こる場合もあります。皆さんに、ご理解をいただきたいのは「うつる病気ではない」ということ。まだ一般の方には馴染みのない病気なので、その「乾癬」という名前から、「もしかしたら、うつるんじゃないか?」と思われることが、すごく患者さんの心の負担になっています。そして、美容室をはじめ、肌を露出するようなことを躊躇してしまうのです。

小村 乾癬になる原因というのは、どのようなところにあるのでしょうか?

馬渕 原因は、はっきり分かってはいないのですが、おそらく遺伝的になりやすい体質があるのだろうと言われています。ただ、強い遺伝性があるわけではなく、日本人では5%ぐらい。また、欧米人の場合は、30~40%ぐらい家族の中で症状が出ると言われています。

小村 なぜ、ガサガサとしたフケのようなものが、できるのでしょうか?

馬渕 それは、免疫バランスの異常が起きているからです。皮膚のターンオーバー(代謝)が、健康な人と比べて約10倍速く、皮膚細胞が過剰に増殖されてしまうためです。そして、皮膚が盛り上がり、時間がたつと、はがれ落ちていきます。だから、頭皮に乾癬ができた場合は、フケのように見えます。これは、海外でのアンケート調査結果なのですが、乾癬の患者さんに「乾癬の症状が消失した後に何がしたいですか?」と質問したところ、「黒系の服や露出のある服を着たい」という回答が40%で第3位になっています。私も患者さんから、「黒系の服が着れない」というお悩みをよく聞きます。

小村 フケもそうですが、黒系の服だと目立ちますよね。また、男性のほうが、乾癬になる方が多いということですが、女性との違いは何かあるのでしょうか?

馬渕 まだはっきり分かっていないのですが、男性のほうが、たばこを吸っている人の割合が多く、メタボになる割合も多い、ということから、環境的要因も関係しているのではないかと言われています。40歳以下では男女差はあまりなく、中年以降(40代以上)で発症する方は、男性のほうがぐっと多くなるからです。

乾癬とは?

乾癬の種類は大きく5つに分類され、全体の約9割が尋常性乾癬です。
皮膚が赤くなって(紅斑)が盛り上がり、表面に銀白色のフケのようなもの(鱗屑)ができて、ポロポロとはがれ落ちる病気。かゆみを伴うこともある。

おでこの生え際にできた乾癬

肌が乾燥する冬よりも、
紫外線が強くなる夏のほうが、
「乾癬」の症状は軽くなる。

―――乾癬になっても、完治するものなのですか?

馬渕 なかなか治りにくいです。私の実感としては、治るのは1割弱の方。患者さんによっては、治らない病気だからと、諦めてしまいそうになる方も多いです。でも、今は、外用薬(塗り薬)以外にも、内服薬、注射剤(下表)など、次々に新しい種類の薬が出て、治療の選択肢が増えています。だから、患者さんには諦めずに、ご自身にあった治療法を探すため、専門医に相談してほしいです。

小村 いろいろな治療法があるなら、治したいですよね。薬だけでなく、アルコールやたばこをやめることで、改善していくものですか?

馬渕 それだけで完全に治る方は少ないですけど、悪い時よりは良くなったと、ご本人が実感するぐらいは改善します。また、季節としては冬のほうが、症状が悪くなります。空気が乾燥するので、肌も乾燥してバリア機能が落ち、何かしらの刺激が加わると、乾癬も悪化します。でも夏になると、冬より紫外線が強くなるので、症状が軽くなる方が多いです。

小村 紫外線が効くということは、夏は海水浴をしたらいいですよね。

馬渕 そうです。私たちは、海水浴をおススメしています。でも、患者さんは「こんな全身に乾癬が出ているのに」と人目を気にしてしまいます。なので、家の中で「ガラス越しに日光浴していただければ良いですよ」とお話しています。光線療法という治療方法もありますが、その機器がどこの病院にもあるわけではないので、日光浴をおススメしています。

小村 紫外線が効くというのは意外でした。最初に先生がおっしゃっていましたが、乾癬は、人にうつらない病気なんですよね。

馬渕 そうです。うつらない病気なので、美容師さんや理容師さんは、一般の方と同様に、乾癬の患者さんを施術してください。そして、「乾癬」という病気があることを知っていただけると、患者さんは助かると思います。

小村 美容師も正しい知識を得て、そのような勘違いがなくなるようにしたいですね。

乾癬の治療法とは?

  1. 塗り薬(外用薬)
    1. ①ステロイド外用薬
    2. ②ビタミンD3外用薬
    3. ③配合剤(①と②を配合)
  2. 飲み薬
    1. ①PDE4阻害剤
    2. ②レチノイド製剤
    3. ③免疫抑制剤
    4. ④疾患修飾性抗リウマチ薬
  3. 光線療法
    (ナローバンドUVB療法など)
  4. 注射剤
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